Your smile once again
「ごめんな」

「笹原が謝ることじゃない」


じゃあなんで無視するんだよ?

佐々木の表情が見えない。

「……自分に腹が立って……」
「何言ってんだよ」


佐々木は立ち止まり、振り向いた。

そして肩をすくめた。

とても、悲しそうな、情けないような顔。

「海翔の言う通りだよね。ごめん」


俺は首を振る。

「いいんだよ」
「でも……」

俺は佐々木に歩み寄る。

「俺、何度も言ってるだろ」


「……」

「ゆっくりでいい。
自分のペースでいい。
焦るな、大丈夫だから。
俺は待つから」

「……っ」

「いい加減信じろよ」

俺は微笑んだ。

佐々木の手を片手で、包み込むように握った。
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