Your smile once again
私は海翔を見上げた。

「表情も明るくなったし。

よく喋るし、感情を表に出すようになったね。
前は人形みたいに静かだったのに」

「そう……かな?」

「そうだよ。

……そろそろ時間だ」


海翔が、時計を見て言った。

駅に向かい始める私たち。


「俺は帰るけど、なんかあっても、なくてもいつでも連絡しろよ。
兄ちゃんは寂しいっ!」


「兄ちゃんって……。

わかった。電話するよ」

私は呆れながらも内心嬉しかった。


ホームへ降りると、新幹線が来るという、アナウンスがあった。

「琴那」
「うん?」


名前を呼ばれて、海翔の方を向いた。

その瞬間、目の前が真っ暗になった。
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