Your smile once again
「……っ⁉︎」

私は額を抑えて後ずさりした。

顔が熱くなって行く。

海翔が、私の額にキスしたのだ。


「なっ……‼︎」


「好きだよ。琴那」


海翔は、笑顔でそう言った。


-----やられた。


私は何か言おうとして、金魚みたいに口をパクパクさせた。

そして、ふう、と息を吐いた。

海翔を見る。


「……知ってる」

やっと出てきた言葉。


「ははっ。そこは相変わらずだね」
「あのね」

ゴオォッ。

風が吹いた。

「付き合ってた時、私は海翔に縋ってたわけじゃないよ」
「うん」


プシューッ。
新幹線が止まった。

「海翔の事、」


海翔が乗り込んだ。


「好きだったよ」

海翔は心から嬉しそうに微笑んだ。


「……ありがとう、海翔」

私がそう言うのを待っていたかのように、扉がしまる。


「大好きだよ、お兄ちゃん」


私は小さくなって行く海翔に呟いた。
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