Your smile once again
「笹原……っ」

消えそうなくらい、小さな声。

なんでこういう時浮かぶのは彼の顔なんだろう。


「佐々木ちゃん?」


なんで、一番会いたい時に会いに来てくれないんだろう。


「遠藤先輩……」
「大丈夫?」
「……はい」


私が今会いたいのは、遠藤先輩じゃない。

「具合悪い?」
「……」

やりきれない。
言葉にならない想いが心の底から、溢れ出してくる。
なんなの、この感情。


「ちょっと、抜け出そっか」

遠藤先輩は、私の手を引いた。
私は俯いて、ただされるがまま着いて行く。

「手、震えてるね」
「すいません……」
「なんで謝るの?」
「いえ……」

私はゆるゆると首を振る。

遠藤先輩は、私を誰もいない体育館裏に連れて行ってくれた。
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