Your smile once again
「大丈夫?」
「……はい」

私は大きく深呼吸した。

-----怖くない、怖くない。


ここはあの家じゃない。

あの人はいない。

「……はぁ……」


思わす大きく息を吐いた。



「もう嫌だ……」

小さく漏れた声。
遠藤先輩には聞こえてしまったみたいだ。

「大丈夫?」

遠藤先輩は何度目かの言葉を私に言った。

「佐々木ちゃん」
「はい?」
「……よく頑張ったね」

遠藤先輩は私の頭を撫でた。


一瞬身体を固くした私。

笹原だったら、少しも怖くないのに。

何て考えてしまう。



「ずっと辛かったんだね。
無理してたんだね」


「……」


私は黙る。


「でも、もう頑張らなくてもいいんだよ?」

「……」

「無理しなくていいんだよ」


遠藤先輩は笑顔を浮かべた。
< 260 / 366 >

この作品をシェア

pagetop