Your smile once again
-----嗚呼。

私が一番言って欲しかった言葉。


『よく頑張ったね』


努力への労い。


『ずっと辛かったんだね』


苦しみの共感。


『もう頑張らなくてもいいんだよ?』


無理することへの制止。


なんでそれを、この人が言うんだろう。


「……っ」

私は涙を堪えた。

「泣いてもいいんだよ。
我慢する必要ないんだよ」

私をこんなに弱くしたのは笹原だ。

笹原が優しいから。

笹原が私を甘えさせるから。


「……佐々木ちゃん……」

遠藤先輩が私に手を伸ばした。

そのとき、
「佐々木っ!」


強く腕を引かれた。


「……泣かせないでくださいよっ!」


聞こえたのはその声だけ。

涙で、顔が見えなかった。


そのまま半ば強引に連れて行かれる私。

うつむいて、涙を堪えていた。
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