Your smile once again
頭を撫でる、手の感覚が心地いい。

昔から、頭を撫でられるのは好きだった。

髪の毛が顔にかかる、あの感じとか。

私は無意識にその手を掴んでいた。

「笹原……?」

自然と私の口からは彼の名前がでてきてしまう。
それが、なんだか悔しい。

「あ……。ごめん、起こした?」

日向は、私の口から出た名前が聞こえていなかったのか。

いや、聞こえなかったふりをしていたのかもしれない。


「佐々木、手……」

日向が困ったように言った。

私はごめん、と慌てて手を離した。そして、上半身を起こす。

「……」


日向を見ると心なしか、顔が赤いように見えた。

その顔をみて、私はまた余計なことを考えてしまった。
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