Your smile once again
綾瀬さんが眩しいくらいの笑顔を私に向けてきた。

そして、申し訳なさそうに目を伏せた。

「ごめんね、もっと人数回せたらよかったんだけど……」

「大丈夫だぞ。心配すんな」

笹原は元気付けるように言った。

綾瀬さんも大変だなぁ。

そうか、二人は同中か。

「ありがとう、笹原。佐々木さんも」


私は急に名前を呼ばれて驚いてしまった。

何を言ったら良いのかわからず、ただ首を振る私。

「笹原、最近調子どう?」
「まあまあかな。綾瀬は?」
「うーん……」

二人は、同じバスケ部だ。

「あたしも、まあまあ。

でも、先輩いなくなるとどうしても怠けちゃってさ」


なんだか……。


「ああ、俺もそれはあるよ」

間に一人いるだけなのに……。

「だよね……」

笹原が、遠く感じる。


「佐々木さんは、部活入って無いんだよね?」


ぼーっとしていた私。

顔を上げたら、綾瀬さんが私を覗き込んでいた。

私はまた視線を落としながら答える。
< 286 / 366 >

この作品をシェア

pagetop