Your smile once again
「いた……」

少し離れたところに笹原がいた。

「ささはっ……」


その後ろ姿に声をかけようとして、はっとした。

湖春が、笹原の隣に並んでいたのだ。


「……っ、」


二人を見て、胸が苦しくなった。
思わずその場に座り込む。


「……いたい……」



痛くて、痛くて。



涙が出そうだった。

胸を拳を当て、ぎゅっと目をつぶった。

そうしたら何も考えずに済んだ。

しばらくして、私はふらふらと立ち上がった。


後夜祭は始まっていると思うけど、今はそんな気分じゃない……。



私は、久々のあの場所に足を運んだ。
< 312 / 366 >

この作品をシェア

pagetop