Your smile once again
俺が思わず声を荒げると、綾瀬は怯えたように俺を見上げた。


「俺……、俺は、本人の言ったことしか信じない」
「……っ」


綾瀬が傷ついたように顔を歪める。


なぜ、綾瀬がこんな嘘をつくのかとかは今、どうでもいいことだ。


「とにかく俺、行くわ」

そう言い残して、彼女の横を通り過ぎる。

「なんでよっ‼︎‼︎」

綾瀬らしくない、怒鳴り声。


「なんでっ、なんで、琴那なの。琴那なんか、笑わないし、可愛げなんて少しもないじゃん‼︎‼︎


それなのに、なんでっ……」


俺は振り向いた。


綾瀬は、目に涙をためていた。

「……綾瀬は何もわかってねーよ。

『それなのに』じゃなくて、『そうだから』俺は、あいつがいいんだ」


綾瀬の次の言葉を待たずに、俺は走り出した。
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