Your smile once again
「寒くねーの?」
「平気」
笹原は、無言でパーカーを差し出した。本当は、肌寒かった私はそれに腕を通した。
「何かだんだんわかってきた。」
「何が?」
笹原が自慢げに言った。
「佐々木の平気は平気じゃないって!」
なにそれ、と私は苦笑した。
「今日は、一段と不機嫌だな?」
やっぱり、ばれたか。
彼は、人の心に敏感だ。
「悩んでんの」
「珍しいな。何かあったのか?」
「別に?いつもと変わらない。いつもと変わらないのが、嫌なんだ。変わってほしい」
私は空を仰いだ。
星が綺麗だった。
「あーーあーーーっ」
思わず漏れた声。
目を閉じると、冷たい夜の空気が鼻につく。
「私は、誰にも好かれたくないの。
好きとか、嫌いとか、めんどくさいだけだし。ほっといてほしいよ。」