Your smile once again
「ふはっ」

笹原の、照れたような、嬉しそうな笑顔……。


「今は、それでいいや」


笹原はそう言った。


そして、ゆっくり、ゆっくり、私に顔を近づけて来た。


「……っ」


驚いたけれど、逃げられなかった。


なすがまま、私は目を閉じて、彼を受け入れた。



ふわり。唇が重なる。


けれど、それは一瞬の事だった。

すぐに私から離れた笹原は、くるりと背を向けた。


「さ、笹原……?」
「あーあ‼︎‼︎」


頭の後ろで腕を組み、大声を出す。


「明日まで我慢しようと思ってたのに……。
しかもちゃんと告えてないし……。

ちゃんとしたことは、明日言うから……!」

一人でブツブツと笹原はつぶやく。

「な、なんのはなっ」
「待った‼︎今こっち来ないで‼︎……絶対顔やばいから俺」


そう言われると見たくなってしまう。

私は笹原の顔を覗き込んだ。
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