Your smile once again
〈side 洸〉

……もうやだこの人……。

俺は佐々木の寝顔から顔をそらしながら心の中で呟いた。

電車とはいえ、男の前で寝るか!普通!毎度毎度、佐々木の無防備さには驚かされる。

さっきも、余裕ぶって可愛いとか言ったけど。内心鼻血出る勢いだったし。

なんて、告えばいいんだろうか。

やっと、佐々木の本音が聞けたのは嬉しかった。


いや、気持ちはまた聞けていないのか……。

「わかんない、ね」


わかんないって言っていたけれど、あの反応はもう俺のこと……。



いやいや。


自惚れるのはやめよう。


ふと、佐々木の寝顔に目を移すと、『あいつ』の笑顔が重なって見えてしまった。
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