Your smile once again
「結構遊んだな!」

いつもの河原まで来て、笹原が笑顔で言った。

夕日が、眩しい。

「すげー楽しかった」

どこかさみしげな表情。

「……ささはっ、ぅわぁっ⁉︎」


笹原に声をかけようとして、慣れないヒールのせいで転んでしまった。

「ちょっ、大丈夫かよ、佐々木」


呆れたような笑顔で、そう言った笹原。

恥ずかしくて、顔が熱くなる。

バカだ。何をこんなにテンパっているんだ。

「ほら、手」


笹原の右手がそっと伸びてくる。私はその手を取ろうと、同じように伸ばした。




その瞬間。

突然、あの感覚が、私を襲った。


それは、今まで何度も感じて来た感覚……。


私にとって一番思い出したく無いものがぐるぐると頭を回る。



呼吸が乱れ、心臓が暴れ出す。
< 332 / 366 >

この作品をシェア

pagetop