Your smile once again
目に染みる、赤。
横たわる誰か。
狂気に満ちた瞳。
壊れた日常。


『いいの?』

誰かが、私に問いかけた。


『あの時、もう誰も信じないって、決めたのは誰?』


私だ。

ボロボロになった私は、一人を選んだ。誰ともかかわらず、誰にも頼らないような人生を。

そのために私は、『線引き』をしてきた。
ここまで、というラインを決めて、踏み込ませないようにしてきた。


彼は、笹原は、そんなラインなんて、とっくに超えている。


だからこそ、怖い。

この手を取ったら、もう、戻れない気がして。
一人ではいられないような気がして。


『また痛い目に合いたい?』



今私に話しかけてるのは、あの頃の私だ……。
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