Your smile once again
「……琴那」

怜音が、いつもより少しだけ低い声で、私を呼んだ。

その声に、私は観念する。

「もう、関わらないことにした」

私は静かに言った。
まるで、自分に言い聞かせるように。

「えっ?」

香澄が目を見開いた。

「どうして?」

その問いに、私は答えようかどうか、迷った。
やがて深呼吸をしてから答える。

「怖い、から」
「……」


「人に、心を許すのが、怖い。
大切にすれば、するほど、失うのが怖くなる。
失った時に、傷つくのも、怖い」

私は、傷ついた時の痛みを知っているから。

「でも、琴那は、」

怜音が必死に私に言うが、遮った。

「いいんだ。……1人は、慣れたから」

そう言った瞬間、頬に熱と痛みを感じた。

「……っ」
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