Your smile once again
「……怜音」

怜音の手から力が抜けて、ネクタイが離された。

「私達は、琴那のこと大事だよ。失いたくないよ。だから、今こうして一緒にいる。

……琴那は、違うの?」


優しく、そう言われた。

「……違わない……」

私はポツリ。
零すように、返した。

「ちゃんと、話しておいで?」

香澄が私に歩み寄って、私の手をとる。


「……笹原くんは、琴那を大切にしてくれると思うなぁ」
「……うん……っ。うん……」


怜音は今にも泣き出しそうな顔で、私の頬に触れた。


「叩いてごめんね、琴那」
「ごめん、怜音。香澄。ありがとう」

素直に口に出すと、2人は優しく笑ってくれた。
< 346 / 366 >

この作品をシェア

pagetop