Your smile once again
よかったー。
牧田はそう言って胸を撫で下ろした。

「ってことで、今日は俺に琴那貸して!」

「あっ、ちょっとー!」

牧田は私の鞄をグイグイと引っ張る。


色々話しているうちに(牧田が一方的に話していただけだったが)、バスに乗り、電車に乗り、私の降りる駅だった。

改札を出ても、牧田は後ろからついてくる。

ニコニコしている。


「……あんた、家帰れ。てゆうか、鞄はどうしたの」
「ん?家帰ったよ。一回」
「はぁ?」

私が聞き返す。

一瞬、牧田の笑顔が陰った気がした。

「俺の家、学校の横。寮だから」
「ふぅん」

サッカー部のエースらしいから、スポ選か。

さほど興味がなかった。
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