Your smile once again
私が言うと、牧田がクシャリ、顔を歪めた。


そして空を仰ぐ。


「だよな。
……俺さ、両親いないんだ。


ガキん時、事故で死んだ。

即死だった。俺をかばって、死んだ。

それから、
親戚の家たらい回しにされて……、施設にも入ったな。

俺にはサッカーしかないんだ。


俺から、サッカー奪ったら何もないよ。

まじで。

……ごめん。

暗い話して。わかんないよな」


牧田はさっきまでとは違う、悲しそうな笑顔を私に向けた。



「……わかるよ」
「ん?」

牧田が聞き返す。

「私も母親、死んでいないから」
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