Your smile once again
ー 放課後 ー

「痛てっ!」



上からボールが落ちてきて、小指に当たった。


「おい。ボーッとするな!

……まだ、体が完全じゃないんだな?」
「イヤ、大丈夫です」
「だめだ。帰れ。そのままやってもっと怪我したら困る」



俺は渋々うなずいて、指を冷やすために保健室に向かった。



「すいません、氷をーーー」


驚いた。佐々木が、真ん中にあるテーブルに、突っ伏して寝ていたのだ。


「そういや、保健委員だったっけ」

俺は図書室でいつもそうするように、佐々木の正面に座った。


「……っ」


時折、苦しそうに顔を歪めては声を漏らす。


あの無表情の裏に、何を抱えているのか。

俺は知らない。

「……、……っふ」
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