Your smile once again
震える手で、笹原の番号にコールした。

電話は、ワンコールで出た。

『佐々木?』

私はその声に心から安堵した。

まだ、声がうまくでない。

「……らっ」

『どうした?

佐々木?泣いてんのか?』

「……っ」


『佐々木?』


私はノロノロと立ち上がった。

「……たい」
『ん?』


「会いたいよ……笹原……」

かすれた声でそう呟いた。

『……今から行くから。待ってろ』
「でも……」
『動くなよ』
「……うん」

一方的に電話が切れた。

数分後、チャイムが鳴った。

私は、自分の部屋でうずくまっていた。

階段を上がる音。

「佐々木?」


大丈夫か、と息切れしながら尋ねてきた。
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