Your smile once again
〈side 洸〉
俺は、佐々木の左手首に包帯を巻いていた。
お互い、何も喋らなかった。
前から、気になってはいた。佐々木の両手首にくっきりと残る、切り傷。
「アルバム、見たのか?」
アルバムが、無造作に置いてあった。
佐々木は黙ってうなずく。
多分今は、何も言いたくないんだと思う。
「前はさ、両方切らないと落ち着かなかったんだよね。
これでも進めてんのかな」
俺は何も言わずに、佐々木の言葉を待った。
「なんで、いつもうまく行かないの。
もう嫌だよ……。疲れた……。
もうアルバム、普通に見れないのかな」
なにもかも、諦めたように佐々木は言う。
「ゆっくりでいいんだよ。焦んな。大丈夫だから」
佐々木の頭に、ポンと手をおく。
佐々木はまた、一瞬体をこわばらせたが、すぐに微笑んだ。
久々に見た笑顔は、何よりも悲しそうだった。
俺はふと時計を見た。七時だった。
「じゃ、帰るわ」
「えっ」
小さく声をあげて、怯えた目で俺を見てくる。俺は一瞬うろたえた。
「……急に呼んでごめん。ありがとね」
珍しく素直に言う佐々木。
「なんかあったら、すぐ来るから」
「……ごめん」
俺は微笑んだ。
俺は、佐々木の左手首に包帯を巻いていた。
お互い、何も喋らなかった。
前から、気になってはいた。佐々木の両手首にくっきりと残る、切り傷。
「アルバム、見たのか?」
アルバムが、無造作に置いてあった。
佐々木は黙ってうなずく。
多分今は、何も言いたくないんだと思う。
「前はさ、両方切らないと落ち着かなかったんだよね。
これでも進めてんのかな」
俺は何も言わずに、佐々木の言葉を待った。
「なんで、いつもうまく行かないの。
もう嫌だよ……。疲れた……。
もうアルバム、普通に見れないのかな」
なにもかも、諦めたように佐々木は言う。
「ゆっくりでいいんだよ。焦んな。大丈夫だから」
佐々木の頭に、ポンと手をおく。
佐々木はまた、一瞬体をこわばらせたが、すぐに微笑んだ。
久々に見た笑顔は、何よりも悲しそうだった。
俺はふと時計を見た。七時だった。
「じゃ、帰るわ」
「えっ」
小さく声をあげて、怯えた目で俺を見てくる。俺は一瞬うろたえた。
「……急に呼んでごめん。ありがとね」
珍しく素直に言う佐々木。
「なんかあったら、すぐ来るから」
「……ごめん」
俺は微笑んだ。