Your smile once again
玄関に行き、靴を履くと突然ドアが開いた。


佐々木の祖母だ。

ずいぶん若い。

佐々木はさっと左手を隠した。

でも、おばさんは多分気づいているだろう。

「あら、お友だち?」


佐々木がコクン、頷いた。


「初めまして。俺、笹原洸と言います」
「もう帰られるの?」
「はい」



「琴那。
棚の上に、頂いたマドレーヌがあったでしょう。

取ってきてくれる?」

佐々木が身を翻してリビングへと消えた。

「笹原くんは琴那とお付き合いしているの?」

日溜まりみたいな笑顔で、話しかけてきた。

佐々木がたまに見せる笑顔に良く似ていた。


突然の質問に焦る。


「や、違います!」

「あら、そうなの?

あの子家では何もしゃべらないから。
 

……琴那をよろしくね」



「……はいっ!」
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