ボーダーライン
「砂原さん?」

私の手をぐいぐいとひっぱって歩くアキの背中に呼びかけると、アキは振り向きもせずに答えた。

「だからアキでいいって」

5分くらい歩くとそれまで道の両側に植わっていた木がなくなって、視界が一気にひらけた。

「わー…こんなとこがあるんだ」

水面は夕日で赤く染まり、きらきらと光を反射して輝いている。きらきらと光をこぼしながら流れる水の先は、もう夜の色に染まりはじめた。

「間に合って良かったー。日が暮れるまでのほんの少しの時間にしか見られないんだって」

アキの少し茶色い髪が陽に透けて綺麗だった
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