【続】恋愛のやり直し方
ギュッと目を瞑ったその時




パシンという乾いた音がした。







「ちょっと、虐めないでくれる?」




明らかに不機嫌そうな冷たい声。

ハッと目を開けると、そこにいたはずの竜くんはもういなくて、友田の背中しか見えない。




「虐めてなんてないですよ?それよりもセンセの方が虐めてません?そんな分かりやすいトコにマーキングなんて相手を思って、今どき高校生だってしませんよ?」





挑発的な声で話す竜くんの顔はココからじゃ見ることができない。

ピーンと張り詰めた空気にゴクリと息を飲む音すら聞こえてしまいそう。





少しの沈黙を破ったのは、フッと笑った友田だった。






「お前さ、欲しいなら正面から来いよ。若者は直球勝負が唯一の武器だろ?」




さっきまでの挑発的な声色では無かった。
ホッとしたのも束の間、次の言葉で場は一瞬にして凍りつく。




「ま、どんな直球を投げてよこしたとしても、俺からは何も奪えないけど?」
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