【続】恋愛のやり直し方
否定したいけれど、そう考えた方がどの事象もすんなり説明できる。



優しい友田の事だ。
私を傷つけることを最小限に留めようと色々考えてくれたんだと思う。



この暖かい胸の中でいったいどれだけぬくぬくと甘やかされたんだろう。



もう充分だ。



欠点だらけの私には少し贅沢だったのかもしれない。



父親の愛情すらまともに受けられなかった私に、こんなにも穏やかで甘い時間をくれた友田に、私ができることーー




友田の体からそっと離れる。
この期に及んでもまだその胸に飛び込みたい衝動にかられる。



どこまで欲張りなんだ私。



そんな私の行動を不思議に思ったのか、友田は「綾?」と怪訝そうな顔で私の顔を覗き込む。

私の心の中を覗き込むように見つめる友田の目。




その目に向かってゆっくりと微笑む顔を向ける。



「ありがとう。もう大丈夫」



手を伸ばし友田の頬に触れる。
普段なかなか見ることのできない驚いた顔の友田に、自然と笑みが漏れた。




「ナオ………ありがとう」


背伸びをして友田の唇に自分の唇を重ねた。

触れた瞬間、ゾクンと子宮が疼いた。



揺れる心を隠して離れる。
喉の奥からグッと込み上げてくるものを必死で堪えた。
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