【続】恋愛のやり直し方
「あのさ綾――」友田が何かを言いかけたのを遮って続ける。





「竜くんは早く原稿を持って帰らなくちゃいけないんじゃないの?真理子にまた怒られちゃうよ?それから、先生は少し休んだらどうですか?昨日も徹夜だったんでしょ?食事できたら声かけますから。じゃあ、私は買い物に行ってきますから」




二人の返事も聞かず傍のバックを掴み、急いで部屋を出た。




パタパタと足早に廊下を進み玄関を出る。





後ろから追ってくる気配が無いことに安心した。







「はぁー」




閉まったドアにもたれながらそっと息を吐くと、サーっと爽やかな春の風が吹着こんでくる。

カラッと爽やかで暖かいその風を受けながら、全く張れることのない気持に一層憂鬱になる。





手を伸ばせばそこに幸せがあるのに、素直に手を伸ばせないのはなぜだろう?



一度結婚に失敗しているからなのだろうか?



だとしたら、友田にとってはいい迷惑だと思う。
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