【続】恋愛のやり直し方
洗濯モノの入った袋は大して重たいわけじゃないのに、ズシリと重たく感じる。



ノロノロと病室から出ると、すぐそばのナースステーションにいた看護師に

「失礼します。後はよろしくお願いします」と、挨拶をすると、側にいたベテラン看護師が近づいてきた。






「部長、顔色も良くなりましたね。脅威的な回復力だって、先生も言ってましたよ。

やっぱり、娘さんが近くにいる安心感ですかね」



にっこりと悪気のない笑顔を向ける彼女の笑顔に思わず顔を背けてしまった。




私の反応に「えっ」と動揺した声が彼女から漏れた。




はっとして、「いえいえ、皆さんのおかげです」と慌てて言葉を足し、手荷物を重たそうに持ち直すふりをして誤魔化しを試みる。



ドキドキしながら彼女の反応を待つと、



「いえいえ、やっぱりご家族の存在が一番の力になるんですよ」




そう言って再び微笑んで私の肩を2、3度撫でるようにして去っていった。



フーッとため息が出そうなのを寸前で堪え、その背中にもう一度頭を下げて、逃げるようにそこを後にする。
< 281 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop