【続】恋愛のやり直し方
エレベーターを通り越し、誰も使わない階段を数段降りたとき、堪えていたフーッと盛大なため息が漏れた。




確かにここ数日グッスリ眠れていない。




そういえば、あの日立花さんの車で眠った時以来まともに眠れていない。




久しぶりに戻った実家は、私が家を出た18歳の頃から時間が止まっていて、あの頃感じていた窮屈さがよみがえってきて、ひどく居心地が悪かった。




いつの間にか、ここは自分の帰る場所じゃなくなっていた。





そして、『自分と向き合う』と立花さんとの約束も中途半端なまま。



何度考えてみても、父との事を聞かなくては先に進めない結論にたどり着く。




だけど、医者から『心労が一番体に障る』と言われてる今、母にとっても苦い経験であるハズの話を蒸し返していいのか躊躇う。






そしてもうひとつ……



病院で色んな人から声をかけられる。
その度、母が看護師として、人として、信頼されていることが分かる。


それは、娘としては誇らしいことで、喜ぶべき事なんだけど、それと同時に受ける私への期待の眼差し。
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