【続】恋愛のやり直し方
「実家が緑風館ってのはホント。

小さな旅館を、あそこまで大きくしたのは俺の爺さん。経営の才能は尊敬する。人としての尊敬度合いはゼロに近いけど。

今は親父が跡を継いでなんとか保ってる」




今更ながら、友田があの緑風館の跡取り息子だったということに驚く。




「それと、腰越親子のことだけど、亮子さんは戸籍上は親父の妹ってことになってる。爺さんが養子縁組したんだ。

実際は、爺さんの愛人」



「えっ……」





「言っただろ。人間として尊敬する部分はゼロだって。

あの人は、自分の権力をどこまでも発揮して、回りの人間は全部自分の持ち駒だと思ってた。

一人でえりを育てながら緑風館で中居をしてた亮子さんに爺さんがつけこむことなんて容易かったと思う」




苦々しい顔で話す友田の顔。



もしかしたら、その血を引いているのを忌み嫌っているのかもしれない。




あ……



その感覚は、私と似ている。


程度こそ違うけれど、私も父親との繋がりでずっと悩んでいる。
< 300 / 486 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop