【続】恋愛のやり直し方
「お袋が亡くなったあと、俺は爺さんや、それに逆らえない親父の不甲斐なさに嫌気がさして、あの家を出てお袋の姓を名乗ることにした。

幸いお袋の実家は、あの爺さんをも黙らせられる力があったから、養子縁組もスムーズにいったよ」



自分を産み出した家と名前を捨てるなんて決断を、わずか15才にしてしなくてはならなかったんだ


同じ歳の頃の自分には考えられない。




自分がいかに母親のもとでぬくぬくと育てられたのかが分かる。



「友田の家はさ、お袋の兄さんが継いでいたし、その下にも継ぐ者がいたから、俺はなんのプレッシャーも苦労もなくここまで来れた」




友田の背負ってきた人生。

彼はプレッシャーも苦労もなくと言ったけれど、それは違うと思う。




友田の持つ人への観察力は、きっとその過程で備わった力なだろう。


自分を守るために周りの人間を見抜いていくことが必要だったんだ。



皮肉にもそれが小説家としての強みになっている。




だけど、ひとつ大きな疑問が生まれる。
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