【続】恋愛のやり直し方
友田が待っていると実感できた瞬間、さっきまでもう走れないと思っていた足が嘘みたいに軽くなる。



前へ出す足が早くなる。




1秒でも早く顔が見たい。





あと5メートル




あと3メートル……




「あ……」



そこで私の足が止まった。



車の影から、あてもなく空を見上げる友田の姿が見えたから。



私の声に、友田も気づいたようで、さ迷わせていた視線がこちらを向いた。




すぐに合わさる視線。



安堵の表情を浮かべた友田は、すぐにフワッと優しい笑顔になる



その顔を見た瞬間、止まっていた私の足が勝手に走り出していた。



わずか数メートルの距離を勢いよく走り出してしまったため、友田の胸に飛び込むかたちになってしまった。



勢いよくぶつかってきた私を、「おっと」と声を出しながらもしっかりと受け止めてくれた友田は、フッと笑って優しく抱き締める。


「おかえり」



「ただいま……」




その体がとても冷えてることに気づいた。


友田の顔を見上げ、その頬に触れるとひどく冷たい。




「もしかして、ずっと外にいたの?

遅くなってごめんなさい。いつも私、心配ばかりかけてごめんなさい。勝手ばっかりして──」



「ぷっ。帰ってきたと思ったら謝ってばっか。ずっと待ってた訳じゃないよ。タバコ吸いに外に出ただけ。

心配もしてない。綾は戻ってくるって信じてるから」


「だって……こんなに冷たい」
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