【続】恋愛のやり直し方
「日本に帰国した私は、実家も頼れず、職も見つからずに途方にくれたわ。そんな時、私の事情を知る田代が手を差し伸べてくれたの。

紺野さんへの恩返しのつもりで、綾を自分の子として育てたいって」



「なんて事……」




首を横に振るだけの紺野さんの顔は、憔悴している。



「誰も頼ってはいけないのは分かっていながらも、目の前に差しのべられた手を振り払うだけの強さはあの頃の私には無かった」




今の時代だって、女が一人で子どもを産み育てるのは容易じゃない。


まして、私の生まれる頃ならなおさら……



「田代との子として綾を産み育てるために、私たちは籍を入れたの。

そして、綾が産まれたわ。田代はそれはそれは可愛がってたわ。誰が見ても疑う余地も無いほど幸せな『家族』だった」



私にはその頃の記憶は無いけれど、そんな暖かい家族だった時があったのかと、信じられない気持ちでいっぱいになる。
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