【続】恋愛のやり直し方
いつも思う。


友田の言葉にはどうしてこうも『力』があるのだろうか。



力ずくで無理やりこじ開けるのではなく、いとも簡単に心の中に侵入を果たし、隅々まで浸透していく。




それが彼の言葉だからなのか、声なのか、はたして別の要素からなるものなのか分からないけれど、恐ろしいまでに私の心に従う気持ちを生む



まるで彼に委ねていれば大丈夫だと本能が感じているようだ。




「も……泣きたくなんてないのに」



そんな強がりな言葉を吐くのが精一杯




それを聞いた友田が「うんうん」なんて優しい声を出すから、涙腺は完全に壊れた。


自分をさらけ出すとか、我慢しな
いとか、彼に委ねるとか……そんなことを頭で考えるのが馬鹿バカしくなった。



この体から涙が出なくなるまで何も考えずに流し続けよう。と開き直りにも近い。




ダラーンとしていた手を友田の胸にしがみ付くように握り、胸に埋めるように顔を押し付ける。




「……ずっと淋しかった」


「時々耳の奥で声が聞こえるの。すごく怖い」


「弱い自分が嫌だった」


「誰かに理解して欲しかった」


「もっと友達が欲しかった」


「私って存在を否定しないで……」





嗚咽と共に心の中の整理されてない言葉が次から次へと出始める。
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