【続】恋愛のやり直し方
慌てて顔を離したところで、もう遅いけど、少し気まずい顔で謝ると、ムニュっと軽く頬をつねられる。



柔らかい表情そのままに。





「洋服、ぐちゃぐちゃになっちゃった。ホントにごめんなさい」



もう一度謝ると、ポンポンと頭を撫でる。



「俺ね、今めちゃくちゃ嬉しいの。何なら、この洋服の汚れごとアルバムに貼っておきたいくらい」



「え?な、何で」



「ん?だって、綾の中にあるもの全部見せてくれたし、それが俺の胸の中だったなんて、男としてこんな幸せないだろ」



「そ、そうなの?」



相当無惨だろう、私の顔を覗き込ながらニコリと笑う。



眩しいくらいのその笑顔に、見つめられるこっちが恥ずかしくなって、プイッと顔を逸らす。




「自分でも確認するのが怖いくらい酷い顔してるから、見ないで」



「いや、今までで一番かわいい顔してるよ。うん。ホントに。だから、もっと見せて」



そう言って覗き込もうとするから、手で顔を覆う



「今日を忘れないように、見せて」



「やだ。趣味悪い」



「かわいいって言ってるでしょ」「やだ」……


この不毛なやり取りを数回繰り返したところで、はっと気付く




「からかってるでしよ」



「かわいいって言ってるでしょ」
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