【続】恋愛のやり直し方

「もう……バカ。こんなに甘やかしてどうするのよ」



再び友田の胸にしがみつき、顔を隠すように泣く。




隠したところでバレバレなんだけど。



そんな厄介な私の事情を全てお見通しとでも言うように、クスッと笑う友田。





「言ったでしょ。俺無しでは立つことも出来ないくらい俺に依存させたいって。

だから、綾はバカな男のエゴに付き合ってると思ってればいいんだよ」




頭を撫でるその手が止まり、その手が顎に添えられる。




それに合わせて自然と顔を見上げるように起こすと、柔らかく慈しむように微笑む友田の視線とぶつかる。






「……」







そしてゆっくりと近づくその顔とシンクロするように私もそっと瞳を閉じる。






皮膚で彼の気配を感じられる距離まで近づいた時、吐息のように囁かれた言葉のせいで、出尽くしたと思った涙が再び溢れ出す。




その涙を塞き止めるように優しく押し当てられた唇。



触れるだけなのに、体の奥からジワジワと熱が起こる。



小説家……ううん。
友田直樹という男はズルい。完敗。







「綾がこの世に生まれてきてくれて良かった」