【続】恋愛のやり直し方
私の出世に纏わる事実を聞かされてから1年以上経った。
あの後すぐに紺野さんは、母に結婚を申し入れた。
母はしばらく迷っていたけど、最初から答えは出ていたようにも思う。
母の再婚に反対はしなかった。
二人の間にあった様々な障壁が、長い年月の遠回りを経て無くなり、今やっと結ばれるのは、娘としてではなく、同姓として嬉しかったから。
だけど紺野さんからの申し出はもうひとつあった。
それは──
「綾ちゃんを俺の娘にしたい」
だった。
戸籍の手続きに詳しくない私は、単純に母と再婚したら、私も紺野さんの戸籍に入るのだと思っていた。
たけど連れ子である私……本当の娘なんたけど。……は、養子縁組をしなくては紺野さんの籍には入れないらしかった。
もちろん「いいですよ」と即答すると、紺野さんは、少し困ったような顔をした。
「僕の娘にしたいってのは、俺の我が儘なんだよ。
僕の戸籍に綾ちゃんを入れると、綾ちゃんの戸籍から『田代』の名前が消えることになる。僕はそれを望んでいるんだ。心が小さい男だろ?」
あの後すぐに紺野さんは、母に結婚を申し入れた。
母はしばらく迷っていたけど、最初から答えは出ていたようにも思う。
母の再婚に反対はしなかった。
二人の間にあった様々な障壁が、長い年月の遠回りを経て無くなり、今やっと結ばれるのは、娘としてではなく、同姓として嬉しかったから。
だけど紺野さんからの申し出はもうひとつあった。
それは──
「綾ちゃんを俺の娘にしたい」
だった。
戸籍の手続きに詳しくない私は、単純に母と再婚したら、私も紺野さんの戸籍に入るのだと思っていた。
たけど連れ子である私……本当の娘なんたけど。……は、養子縁組をしなくては紺野さんの籍には入れないらしかった。
もちろん「いいですよ」と即答すると、紺野さんは、少し困ったような顔をした。
「僕の娘にしたいってのは、俺の我が儘なんだよ。
僕の戸籍に綾ちゃんを入れると、綾ちゃんの戸籍から『田代』の名前が消えることになる。僕はそれを望んでいるんだ。心が小さい男だろ?」