【続】恋愛のやり直し方
「控え室もどる?」



「え?あ、うん。そ、そうだよね」




私の心情を察してくれたらしい友田。



「ん」と、差しのべられた手に自分の手を重ねると、力強く握られた。




裾を気にして歩きながらも、私の視線は少し先を行く友田の後ろ姿をとらえたまま。


タキシードが、ため息が出るほど似合ってる。




すごい人と結婚したんだ。と他人事のような、そうでないような…複雑な感情がわいてくる。



自分を卑下する訳じゃなくて、純粋に、この人は何で私を選んだのだろうと思う。




もっとスムーズに結婚できる相手なんてたくさんいたはずなのに。





少し自惚れてみたいのかもしれない。





今、ここで直接彼の口から聞きたくなった。





「ねぇ、どうして?」


「ん?なにが?」




脈略もない私の質問なのに、ちゃと立ち止まって振り向いた友田。




だけど、改まって向かい合うとなかなか言い出しにくい。




「綾?どうした?」




俯く私の顔を覗き込むように顔を近づけてきた友田。



至近距離から聞こえてくるその声は、いつまでも私の言葉を待っていると伝えてくる。





「いや……その……何で私なのかな?って……」



最後の方は聞き取れただろうか。
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