【続】恋愛のやり直し方
不覚にもその笑顔にドキッとしてしまった自分を戒めているうちに、立花さんの姿は、そのフロアーの何処にも見当たらなくなっていた。




本日二度目の置いてきぼり……




ため息しか出てこない。



すると、そんな私をよく知る、店員さんが、「お待たせいたしました」と本日何度目かに持ってこられたのは、真っ赤なイチゴが乗った




『ショートケーキ』



コトンと置かれたケーキを目の前にして、ゴクリと喉が鳴った。



この歳でショートケーキにときめくなんて……と自分に苦笑しながらも、私の身体は1秒でも早く糖分を欲しているらしく、ガッツクように手が伸びた。





甘い……



けど、しみる……




それは、いつも私に甘い立花さんのようだと思った。



ありがとう。立花さん。



何だか泣きそうなほど美味しいそのケーキを一気に身体の中に入れながら立花さんに感謝した。



だけど、立花さんがなぜ緑風館の女将を知っていたの?って疑問をすっかり聞きそびれたことを後で悔やむときが来るなんて、その時は分かるはずもなかった。
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