縛鎖−bakusa−
カレラ
1
物心付いた時から母に言われ続けた言葉があった。
「彼らと目を合わせない。会話をしない。
そうしないと……ツイテきちゃうよ……」
その言葉を守り私は16年間霊達を無視し続けて来た。
そこかしこにいる霊体。
「助けて」と聞こえても、
「お願い、話しを聞いて」と言われても、
耳を貸さず縋る視線を無い物とする。
母は言った。
「きりがないのよ。
一人の話しを聞いてあげたら、次から次へと彼らはやって来るから。
話しを聞いて、その霊体の想いを背負ってしまったら……」
まだ小学生の頃、真顔の母にそう言われ私はゴクリと唾を飲み込んだ。
「背負ってしまったら…どうなるの…?」
「その霊体は成仏出来るけど、一人成仏させる度に自分の命を一年縮める。
千歳(チトセ)、覚えておきなさい。
お祖母ちゃんみたいに早死にしたくなかったら…ね」