縛鎖−bakusa−
「おかしな戦いごっこでしょう?
この子の中では怪獣も動物も同じグループに入るの。
そんなに可愛い顔したウサギちゃんなのに、いつもヒーローのやられ役。
クマのぬいぐるみなら強そうな分、まだ分かる気がするけどね」
「あっ!そうだ!クマ!
クマのぬいぐるみを探さないと!」
私が家に上がらせて貰ったのは、お茶を飲んで世間話をする為ではなく、
無くしたクマのぬいぐるみを探して、私のイイ事ゲージを満タンにする為だ。
胸の中には水谷徹の残した不快な鎖を感じる。
早く消してしまいたい…
私の持つウサギちゃんに向かって、ヒーローパンチをぶち込んでいるリク君に話し掛ける。
「リク君、クマのぬいぐるみ探してあげるよ。
お姉ちゃんはクマさんがどこにあるのか知ってるんだよ?」
「本当?ワーイ!」
無邪気に喜ぶリク君。
それを見てミカさんが「ふぅ」と短い溜息をついた。
「実はね、クマのぬいぐるみ、無くしたんじゃなくて私が隠したのよ…」
「え…?
沢村さんは…リク君が無くしたと言っていましたけど…」