縛鎖−bakusa−
分からず困惑する私の前で彼の体が消えようとしていた。
どんどん影が薄くなり、魂が昇天しようとしている。
『千歳、僕やっとトンネルから出られるよ。じゃあね、バイバイ』
「亮介君待って!
私あなたの想いを背負ってないのに!
行かないで!
やだ…やだ…………………………………………………イヤーーーッ!!」
――――…
悲鳴を上げて飛び起きた。
荒い呼吸の中、震えながら周囲を見ると…
トンネルではなく自分の部屋のベットの上。
「ゆ…め…」
ジットリと汗ばんだ体の震えは止まらない。
夢だったと知っても心はまだ恐怖の中にあった。
良かったと安堵出来ないのは、やけにリアルな夢だったからか…
それとも現実になるかも知れないと恐れているからか…
カレラの願いを叶え続け寿命を擦り減らし、
いつかは私の足首にも鎖が巻かれるかも知れないと恐れていた。
震える手で今まで何人の想いを背負ってしまったのかと、指折り数えてみた。
1、2、3、4、5…10、11、12…20、21、22……
25まで数えて恐ろしくなりカウントするのを止めた。