縛鎖−bakusa−
ベット上に座り深い深い溜息をつく。
ベットサイドの時計を見ると、深夜3時。
シーンと静まり返った部屋に、外からの得体の知れないケモノの鳴き声が小さく聴こえていた。
ギィッと軋む音を立てドアが僅かに開いた。
顔を覗かせているのは弟。
不安そうな心配そうな顔…
夢から飛び起きた時の悲鳴で起こしてしまったらしい。
「姉ちゃん…起きてるの?どうしたの?」
「嫌な夢を見ただけ…ごめん起こして…大丈夫だから…」
弟は中学三年生になっていた。
私は高校三年生。
来年は地元の小さな会社の事務に就職が内定している。
生活は上手く行っている。
母が急逝してから二年半が経ち、弟は少しはしっかりしてきたし、
父もやっと区切りを付けられたみたいで、母がいた時の様に笑顔を見せる様になった。
しばらく絶縁状態にあった美里は、
去年「ごめん」と私に謝って来た。
「ごめん、千歳を憎む事で嫌な思い出を消そうとしてた…
もう一度友達をやり直したい…」
今では以前の様に二人でお昼を食べ話しをし、学校生活に色が戻った気がしていた。
全てが順風満帆だった。
私の寿命がどんどん短くなっている事を別としたら…
弟が部屋に入って来てベットに腰掛け私をじっと見る。
「姉ちゃん、まさか今もまだカレラと接触しているんじゃないよね?」