縛鎖−bakusa−
今日は駄目か…
また出直す事にしようと諦めた。
最後の鎖は一生私の心を縛り続けるから、慎重に選ばないと…
――――…
諦めた私は帰路につく。
片道二車線の広いバス通りから小路に入る。
緩やかな上り傾斜を付けた道。
継ぎ接ぎだらけの濡れたアスファルト。
そしてその先には、いつもの短いトンネル。
歩く度に胸の中で鎖が揺れる。
ジャラジャラと…
重苦しい音色で今日も私を苦しめる。
トンネルの入口横の草むらに設置された小さな鳥居。
魔よけにも霊よけにもならない意味のない鳥居。
雨は上がっているがまだ雫を残したその鳥居は、
赤黒い血の色をして今日も私をトンネルに誘う。