縛鎖−bakusa−
『本当に…?僕の願い聞いてくれるの?』
「うん。今までごめんね。無視してごめんね」
『千歳…僕の願いを聞いたら、一年命が縮まるんだよね?』
「そうだよ。でもいいの。これで最後にするから。
最後の鎖は亮介君の鎖がいい」
彼の顔がパッと明るくなった。
その笑顔を見ながら、初めて会話した時もこんな顔していたなと冷静に考えていた。
初めて言葉を交わした6歳の時、その笑顔を嬉しく思った。
自分が話し掛けた事で彼を元気づけたと、ただ純粋に喜びを感じていた。
今はその笑顔を見ても何も感じなくなった。
私が思うのは自分にとってプラスかマイナスか、それだけ。
それでも亮介君はこんな私に神か仏でも見る様なキラキラした眼差しを向け、
「ありがとう」とお礼を言う。
そうして私は亮介君の想いを背負った。
母親に伝えたい言葉をしっかりと胸に刻み、行動を起こした。
―――――…