縛鎖−bakusa−
「いえ…そのままです。
片付けられません…12年前の…楽しかった時のままです…」
「そうですか。
それだと探し易いので良かったです」
先に立って階段を上り、迷うことなく亮介君の部屋に入った。
彼の記憶のイメージ映像通り。
部屋の中は生前のそのままだった。
窓際に学習机と本棚。
古びた黒いランドセルは椅子の背もたれに掛けてある。
星柄のベットカバー。
青と紺のストライプのカーテン。
壁に貼られたサッカー選手のポスター。
「本当ですね…生きていた時のまま…
亮介君のお母さんに見せたい物はコレです」
4段の本棚に歩み寄る。
下から2段まではコミック本や小学生向けの童話や物語が並べられていて、
上二段は市販のプラモデルと、彼が手作りした紙粘土のロボットが並べられていた。
迷うことなく紙粘土で作られたロボットの内の一体を手に取った。