縛鎖−bakusa−
当然の事ながら彼女は怒りを露わにした。
「な…何て酷いこと…
あなたは何なの!?やっぱりただの嫌がらせ?」
顔を真っ赤にして怒る彼女を無視してしゃがみ込み、
壊れたロボットを調べ始めた。
ヒビの入った胴体をバラバラと崩し、中からある物を摘み出す。
これが亮介君の思い残し。
鎖に縛られた原因だ。
こびり付いた紙粘土を爪で擦り落として、綺麗にしてから彼女に渡した。
今まで憤慨していた彼女は、目を見開きそれを手に取る。
「これ…」
「あなたの指輪です。
亮介君はあなたの宝石箱からルビーの指輪を盗みました。
理由はこのロボットの心臓にしたかったから。
このロボットアニメがどんな物かは知りませんが、どうしても必要なパーツだったそうです。
最初は赤いプラスチックの玉を埋めようとしたけど、何か違うと思った。
最強のヒーローロボットの心臓は、キラキラと輝いていなければいけない。
そう思って亮介君は、こっそりルビーの指輪をロボットに埋めたのです」