縛鎖−bakusa−
 


それと同時に私の心を縛るどす黒い鎖も消えた。


亮介君の願いを叶えて古い鎖は溶けて無くなったのだ。



久々の爽快感に心が軽くなる。



ふぅと息を吐き出し胸に手を当てると、

今感じている爽快感が鎖から解放されたせいだけではないと気付く。



数々の黒い鎖に巻かれたせいで、すっかり汚染されていた私の良心。

その黒いシミが…

薄らいで消えて行くのだ。



自分の心の変化に戸惑っているうちにすっかり黒さは抜けていた。



そして6歳の純粋だった頃の様に、明るい白さを取り戻した。



驚いていた。

それから、もしかして…と期待が頭をもたげる。



亮介君の願いを叶える事で、何もかもリセット出来たのではないかと考えていた。



根拠なんてないけど、私の心は白くなり、

心は二度と鎖に巻かれず、

失った数十年の寿命さえ取り戻せたのではないかと…



予想外の心の白さがそんな虚構を見せる。



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