縛鎖−bakusa−
 


亮介君の鎖を最後の鎖にしようと決めていたが、彼の鎖は私の心を縛らなかった。



爽快感に自然と頬が綻んだ。


12歳の天使がきっと何もかもリセットしてくれたに違いないと信じていた。



今も耳に残る母の言葉。


「千歳…彼らの想いを背負い成仏させ続けたら…

お祖母ちゃんみたいに……………………………………シンジャウヨ……」




亮介君に出会えた私は、きっと幸運だった。


祖母や母と同じ道を辿る寸前で救われた。



そう思っていた。


未来があると信じていた。


パンケーキを焼く清々しい朝が、この先何度でも訪れると希望を持っていた。






しかし……



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