縛鎖−bakusa−
「そっかそっかー!
じゃあ悠紀先輩に千歳がそう言う心境だってメールしとく!
あのね、その人三年の潤一先輩って言う人。
悠紀先輩とたまに一緒にいるけど、結構カッコイイよ。私のタイプじゃないけど人気もあるみたい」
潤一先輩か…
美里と私の好きなタイプは違う。
美里が「タイプじゃない」と言うので期待が膨らんだ。
まだ見ぬ潤一先輩に恋の始まる予感がする。
朝の暗い気分が一気に吹っ飛んだ。
梅雨明けのこの青空と同じ様に、心に綺麗な水色が広がった。
―――――…
翌日、美里がまた嬉しい話しを持って来てくれた。
今日のお昼、私達二人と先輩達二人で中庭で食べようと言うのだ。
二つ返事で了承した。
朝からウキウキして仕方なかった。
お昼が待ち遠しい。
潤一先輩ってどんな人なんだろう?
こんな感じかな?あんな感じかな?と期待が膨らむ。
待ちかねた昼休みになり、手作りお握り二個を手に美里と中庭に向かう。
「ねぇ美里、髪の毛はねてない?変な所ない?
そうだ、リップ塗り直しとこ」
「アハハッ!そんなに緊張しないで大丈夫だよ。
リラックス〜自然体〜」
「美里だって悠紀先輩と話せなかった時は、こうだったじゃん。
余裕ぶってムカつくー」